2013年7月28日日曜日

日系企業と外資の比較

15年勤めた日系企業から外資に転職して約8ヶ月。自分なりに両者の違いについてここに述べてみたい。もちろんこれは一般論では無く私自身のケース。前職と現職は業界も異なるので私の備忘録程度かもしれない。

1. 転職について後悔の有無
後悔は皆無。前職の人達とはたまに会ったりする事もあるが、戻りたいと言う気持ちになった事は全く無い。

2. 仕事の大変さ
現職の外資の方が前職と比べてずっとタフ。仕事をしている時間も長い気がする。気がすると言うのは会社に拘束される時間はずっと少ないが、たとえば早めに帰宅して家族と夕食を楽しみ、家族が寝た後にまた仕事を開始すると言うのは日常茶飯事。酔った帰り道、業務メールを読みながら酔いが醒めるなんて事もある。この文章を書いているのは日曜夜だが、業務メールがちょこちょこと入って来ている。

3.人/勤労意識
労働環境は現職の方がずっと気持ち良く仕事が出来る。前職では仕事に不満を持っていない人を見つけるのは至難の業だった。飲み会と言えば最終的には愚痴のオンパレード(だからあまり参加しなかった)。現職の場合、仕事に対する不満は適度にあるのだろうが、それが飲み会で噴出する事は無い。アメリカ本社からの無茶ぶりに対しても「いかにそれをクリアするか」と言う所にフォーカスが置かれる。また全員が中途採用なので、キャリアが幅広く、濃いキャラの持ち主が多い。
これは終身雇用制と中途採用制の違いが大きく関わっていると思われる。終身雇用制の場合、何年入社か、後はおおむね自分の年齢と役職で30半ばにもなれば自分が社内でどの辺りまで出世するか見えて来る。中途採用制の外資の場合、上司が年下、部下が年上と言うのは普通にあり得る話。そもそも歳なんて聞かなければ分からない。嫌なら辞めれば良いと言う気持ちと共に、自分のポジションが全く保証されていないと言う現実がある。10年以上勤めている人もいれば試用期間の内にいなくなってしまう人もいる。
終身雇用が保障されている環境の場合「使えない人材」の処理に困る。それは出世レースを外れた人かもしれないし、嘱託で勝手気ままに仕事をしている人かもしれない。いずれにせよチームの足を引っ張りかねない人材と遭遇する可能性は高い。現職では毎年、下位約10%はレイオフらしい。使えない人は自然といなくなるのである。後はそれが自分で無い事を祈るのみ。成果を出す事は当然として周りと上手く仕事をして行くのも必須スキルである。

4.会社の雰囲気
前職は業界的に毎年前年比割れの成長率、現職は業界的に二桁成長が前提とされる。社内の空気は全く違う。現職の雰囲気は、個々人は与えられた目標数値に対し呆然としながらも、基本は常に前向き。ただしドロップアウトあり。

5.スピード
現職のスピード感は圧倒的。面接の時から言われていたが、物事の変化のスピードが凄まじい。その是非はともかく、取引先と話していると、先方の時間が止まっているのでは?と思う事がある。2週間ぐらい前の出来事だと思ったら数日前だったとか。朝の出来事が午後になると昨日の出来事のように感じられる事はチーム内でも定期的にある。

6.飴と鞭
現職の外資は徹底して飴と鞭。数字その他、達成した時の会社の褒め方は凄い。パーティーなども本格的だし、「楽しむ時は徹底して楽しめ」、と言う文化。鞭はもちろんレイオフ。能力が足りずにレイオフされる事もあれば、プロジェクトの廃止に伴い、異動出来ない関係者が去る事もある。何となく来るのが分かっている時もあれば、青天の霹靂でクビになる事もある。そこは諦観して仕事をするしか無い。
この現職の空気と比べると前職は緩いぬるま湯空気。どっちが良いかは向き不向きがあるだろう。心身共に打たれ強い内は外資が面白いだろう。でも50を過ぎたら、60を過ぎたらそんな環境で仕事をしていられるかどうか。こう書くと以前10年住んでいたNYにも相通ずるものがある。若い内はとにかく面白い。老後を過ごすには日本が良いと言って帰国する人も結構いた。

何となく思うままに書いてみたが、突き詰めると現職は「タフだけど楽しい」。何故楽しく感じられるのかはまだ上手く言葉に出来ないが、いずれその辺りもまとめる事が出来たらと思う。